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「カフェで流れている音楽をいいなと思った消費者」をモデルケースに考える、音楽における消費者の行動プロセス

2015.08.30

いい感じの音楽が流れていることで更に作業が捗るカフェ!BGMを「いい音楽だな」と思った後の消費者の動きを考えてみました。音楽カフェ情報や公共施設における音楽著作権についても少し触れています。

 

目次

 
・作業が捗る「音楽」が流れているカフェってありますよね!
・カフェで流れている音楽の「著作権」ってどんな仕組みなの?
・消費者がカフェで流れている音楽を「認知」するプロセスを整理してみた
・音楽における「消費者行動の流れ」を図にしてみた
・まとめ

 
 

作業が捗る「音楽」が流れているカフェってありますよね!

 
文章を書いたり、webやデザインを作ったり、考えを整理したり…なにか作業に集中したい時ってみなさんどうしていますか?
自分もなのですが、どうしても家だと長時間の集中力が持たず、作業が続かないことが多々あります。
 
カフェ女子
※使ってみたかった河村友歌さんのフリー素材 / ぱくたそ
 
こういう時におすすめなのがカフェでの作業です。スタバでmacを開いている人を見たことがある方は多いでしょう。
 

50デシベル(デジベルは音の大きさの単位)程度の静かな環境(例えば図書館など)で作業をするよりも、70デシベルのノイズがある環境(カフェなど)の方がクリエイティブになる(創造性が高まる)というのです。( なぜか集中できる!カフェで勉強や仕事が捗る理由 – NAVER まとめ )

 
ともあるように、カフェでの作業は「他人の目があるから」「他の誘惑がないから」「お金を払っているから」という心理的な面や、「適度な雑音が脳を活性化させるから」「カフェインを摂取できるから」という物理的な面の理由から集中力が高まります。
 
更には音楽を聴きながらの作業は生産性が増すという記事もあります。(※参考:「作業用BGM」と「生産性」のちょっと良い関係、そして通信料金問題の解決策「ぷららモバイルLTE」 | ライフハッカー[日本版]
自分の大好きなアンビエント・エレクトロニカ音楽も、作業ととても相性がよいです。
 
つまり、いい感じの音楽が流れているカフェは作業に最適だというわけです。
例えば、自分の家の近くにあるNODE UEHARAは、cokiyuさんなどのエレクトロニカからインディーロックまで流れており、その選曲センスが好きです。アイスカフェオレも美味しい。
 
node uehara
 
他には、同じく代々木上原のdish、下北沢のおんがく食堂、福岡大名のmanu coffeeなどがおすすめです。
代々木上原に最近できた終日oneも気になっています。あとカフェではないけどハイレゾミュージックバーのSpincoaster Music Barも昼間は作業できる日があるそう。
 
ジャズ喫茶なども合わせると、まだまだいっぱいいい感じの音楽が流れているカフェがありそうですね。みなさんぜひおすすめ教えてください。
 
 
 

カフェで流れている音楽の「著作権」ってどんな仕組みなの?

 
「音楽」には著作権があります。そのため、カフェのBGMなど個人利用ではない目的で音楽を使用する場合、この著作権に対する使用量を支払う必要があります
これは、レンタルや録画した映画やアニメをバーや病院の待合室などで流したいときなど、「映像」の時も同じルールが発生します。
 

※映画泥棒は「映像」の著作権を守っていますね。
 
日本で音楽の著作権を管理している団体はいくつかありますが、有名なのはJASRACでしょう。
(※参考:音楽著作権管理事業4団体比較表
 
詳細な分類はJASRACの公式サイトや、こちらのサイト(飲食店で「定額制音楽配信サービス」を使うには!「JASRAC」と「Apple Music」に電話で問い合わせてみた )をぜひ見て頂きたいのですが、今回のカフェにあたる「各種施設でのBGM」の部分のみ簡単に記載致します。
 

 
■楽曲使用料が発生するケース
・CDから音楽を流すとき
・インターネットラジオを利用するとき
・Apple Musicなどの音楽ストリーミングサービスを利用するとき(AWA、LINE MUSICは別途確認が必要そう)
 
■楽曲使用料が発生しないケース
・ラジオ
・有線放送(USENなど)
・インターネットでの同時再送信をするラジオ(らじる★らじるradiko
 

 
楽曲使用料は、店舗面積や定員数を考慮して計算されます。最小で年額6,000円(月額500円)のよう。
逆に言うと、カフェはBGMの手段を増やしても費用が発生しないことになります。
 
このことを踏まえて「カフェで音楽を聴いた」ときの消費者行動「音楽を聴いて欲しい」アーティストが何に工夫するとよいのかについて考えていきたいと思います。
 
 
 

消費者がカフェで流れている音楽を「認知」するプロセスを整理してみた

 
まずは「カフェで初めて聴く音楽に接触した消費者」をモデルケースとして、音楽を「知る段階」を整理したいと思います。
 
知る段階は2つに分けられます。「音(メロディ・フレーズ)」を認知する段階と、「音の名前(曲名・アーティスト名)」を認知する段階です。簡単な図で表すと下のようになります。
 
音楽における消費者行動(知る段階 - カフェでのケース)
 
カフェにいる消費者は、まず「音」そのものを認知します。その音に興味が湧いた場合、アーティスト名だったり曲名だったりの「名前」を知るための行動を起こします。いくつかケースは考えられますが、ここでは4つに分類してみました。
 

 
「(1)音で検索して名前を知る」は、ShazamSoundHoundなどによる音声検索や、歌詞のワンフレーズを聴き取りGoogleやTwitterで検索することです。
マイナーな楽曲までは分からないこと、歌詞のない楽曲は歌詞検索できないことがこのケースの課題として挙げられます。
 
「(2)お店の人に聞いて名前を知る」は、カフェの店員に訪ねるというものです。お店の方が選曲している場合などは有効ですが、ラジオなどお店の方が選曲していない場合はこの手段を使うことができません。
 
「(3)人との会話で名前を知る」は、複数人でカフェに来ている場合に会話に出すことや、近くの会話から知るというケースです。音楽好きな友人とカフェに行く、という形ではないと、あまり発生しにくいケースでしょう。
 
「(4)間接的に名前を知る」は、例えばラジオの番組ホームページの選曲履歴など、何かしらの間接的手段によって音の名前を知るケースです。カフェ店内の施設の部分だったり、お客さんとの接点の仕組みの中ででの工夫もこの(4)に含めて考えます。
 

 
(1)の「音で検索して名前を知る」は、興味を持ってからすぐに検索し、曲名やアーティスト名を知ることができ、またアプリやブラウザからアーティストの楽曲試聴サイトへ遷移することで、「音楽を聴く」段階へと消費者はスムーズに進みます。どんなジャンルであれ、アーティストは音声検索に対する対策を意識した方がよいとも言えます。
 
shazam
※Shazamの音声検索の画面。Apple Music上ですぐに楽曲を再生できたり、アプリ内で映像を試聴できたりする。
 
またアーティストや、アーティストを支援したいカフェから工夫できることとしては、(4)の部分のアイディアになるでしょう。例えば、以下のような方法があると思います。
 
・Apple Musicの画面をスクリーンや直接お客さんから見えるところに設置する
・位置情報を取得して、いまそのカフェで流れている音楽の情報を入店した方へアプリ等で届ける
・レシートにカフェで流している音楽情報を記載し、音の名前を知る
music+coffeeのように、コーヒーそのものと音楽をセットにして届ける
 
技術やアイディアで工夫できるこの(4)は、BGMの手段を増やしても費用が発生しないこともあり、既に工夫されている場所も多くあるのかなと思っています。もし知っている方がいたら、ぜひ教えてください。
 
 
 

音楽における「消費者行動の流れ」を図にしてみた

 
音楽における消費者行動の流れ
 
AISASやAIDMAのように、音楽における消費者行動を「知る段階」「興味が湧く・検索する段階」「音楽を聴く段階」「共有する段階」に分けて整理してみました。
 
 

 
 
「知る段階」は既に触れた通り、「音を知る段階」と、「音の名前を知る段階」です。
 
カフェやCMなどではアーティスト名や曲名を知ることにハードルがあるケースが多く、音声検索や間接的に知る手段を通る必要があります。
しかしwebメディアやYouTube、または直接友人から音楽をおすすめされるケースやライブで初めて音楽を聴くケースなどでは、アーティスト名や曲名をすぐに知ることができるでしょう。
 
 
「興味が湧く・検索する段階」は、「受動的な興味促進」「自発的な興味促進、検索」の2つに分けられます。
 
一度名前を知ったアーティストでも、自分からもう一度「曲を聴く」段階まで行くことはいつもではないでしょう。しかし、webメディアやソーシャルメディア、YouTube(広告含む)、カフェなどの公共施設でのBGMやラジオ、雑誌、CM等で受動的にその音楽に再び出会い、興味を持つことはあるでしょう。これが「受動的な興味促進」です。
 
一方、「自発的な興味促進、検索」は、アーティストや曲の名前を知ったことにより、web上で検索したりCD店舗や雑誌などでそのアーティストに関する情報を集めることです。もちろん、この動きには「ジャンルが好みだ」「アーティストの容姿がタイプだ」「親しい人におすすめされた」などの心理的な要因も影響します。
 
 

2014.10.23 #toconoma #TENTO #商品展開 #jazz #6f_groove

タワーレコード渋谷店さん(@tower_shibuya)が投稿した写真 –

※CD店舗では「とても知っているアーティスト」「名前だけ知っているアーティスト」「初めて知るアーティスト」がバラバラに並んでおり、偶然の出会いが生まれやすいですね。
 
 
「音楽を聴く段階」は、AISASでいう「Action(購買)」段階であり、アーティストにとっての一種の「目標」となる部分です。
 
この目標は2段階あり、ひとつは「音楽を聴く」段階、つまり音楽を好きになってくれる、ファンになってくれるという段階です。
もうひとつは実際に消費者がアーティストへお金を払う段階で、CDや音源データを「所有」すること、ライブやイベントで音楽を「体験」することが挙げられます。また、法人の場合は楽曲提供やタイアップなどの「企業とのコラボ」としてアーティストへお金を払うことがあると思います。
 
 
「共有する段階」は、音楽の名前を知り、音楽を聴いてかつ「共有したい(誰かに音楽を知らせたい、自分が聴いている音楽を誰かに知ってほしい)」という気持ちにより起こる行動です。
 
音楽を好きになるきっかけの中で「親しい人におすすめされた」「親しい人が好きな音楽だった」という理由は比較的高い割合で存在すると思っています。名前を伝えることや、webなど共有しやすいメディアでのプロモーションを適切に行うことが「共有」行動を起こすための工夫になると言えます。
 

 
それぞれの手段や経路自体は、もっと複雑に多様に存在すると思います。また、継続的に「音楽を聴く」という目線だと、ファンクラブやメルマガであったりソーシャルメディアやライブ会場でアーティストとファンが直接関わるなど、「世界観を育てる」「一緒に進んでいく」というようなプロセスも入ってくるでしょう。
 
あらゆるマーケティングの概念は、目の前のことに応用するための基礎知識にしか過ぎません。今回は「カフェで初めて聴く音楽に接触した消費者」をモデルケースとして考えましたが、実際のアーティストやレーベル、カフェの立場から現実的なアイディアをもっと考えてみたいものです。
 
 
 

まとめ

 
今回の記事のまとめは以下になります。
 
・いい感じの音楽が流れているカフェは、心理的な面でも物理的な面でも作業の生産性を上げてくれる。
・カフェで流れている音楽にも「著作権」があり、その利用方法により楽曲使用料が発生するかが決まる。
・音楽における消費者行動では、「知る段階」が「音を知る段階」と、「音の名前を知る段階」に分けられる。
・Shazamなどの音声検索は、聴いた音楽の名前をすぐに知ることができ、更にアーティストの楽曲試聴サイトへもスムーズに遷移できるため、「音楽を聴く」段階へと進みやすく、新しい音楽を好きになるきっかけになりやすい。
・音楽における消費者行動は、「知る段階」「興味が湧く・検索する段階」「音楽を聴く段階」「共有する段階」という形で簡単に整理することができる。

 
自分が日々カフェで自然に行っている行動を整理してみると新たな発見があった、という記事でした。
 
 
※余談
・アンビエント音楽が流れるシェアアフィス、コワーキングスペースがあったら最強だと思います。作りたい。
・音楽レーベルがカフェをやる、というのもおもしろいと思います。逆のケースはあるみたい。(※参考:カフェがCDレーベルを始める意味 | 林伸次(bar bossa)
商標SoundCloudっておもしろいですよね。ポケモンの鳴き声をひたすらアップするSoundCloudとかあって欲しいです任天堂さん…!
・ファミリーマートのファミラジやローソンのCSホットステーションなどのコンビニの店内ラジオ、とてもおもしろいなと思っています。接触時間や接触人数で言うとFM等のラジオといい勝負かもしれない?
・いい音楽が流れている居酒屋もありますね。僕の大好きな下北沢の炉ばたは昭和歌謡。先日初めて行った蔵蔵は少しロックンロールな感じでした。
 
 
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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