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AdWords運用担当が知っておきたいGoogle AdSenseの仕様
2016.07.02

Google AdWordsのディスプレイ広告枠「Google AdSense」の仕様を把握した上で運用していますか?AdSenseの仕様を整理していくとともに、Googleが提唱するマイクロモーメントに触れながら「広告におけるUX」についても少し考えてみたいと思います。
目次
・知ってる? Google AdWordsとGoogle AdSenseの関係
・GDNのターゲティング&クリエイティブ設計の時の意識したいAdSenseの仕様
・広告枠の観点からもUXを追求するGoogle
知ってる? Google AdWordsとGoogle AdSenseの関係
インターネット広告、特にリスティング広告に携わる方なら必ずと言っていいほど関わるGoogle AdWords。
Google AdWordsからは、Google検索やYouTubeの広告枠、メディアに設置されているGoogleディスプレイネットワーク(GDN)などに配信することができます。
さて、ではメディアはどうやってGDNの広告枠を設置しているか知っていますか?
答えは上のような流れ!GDNの広告枠は、メディアがGoogle AdSenseという広告プラットフォームを利用して設置した広告枠(=htmlコード)です。
Google AdSenseには審査はあるものの、特に一定数のPVが必要なこともなく、基本的には誰もが利用可能です。ただ最近では「独自ドメインでないと審査に通らない」みたいな話もあります。(※2016年6月現在。)
メディア側は広告枠の表示回数やクリックされた数に応じて、Googleから報酬を受け取ることができます。2016年6月のメディア側への収益分配率は68%とのこと。1クリックあたりの課金額(CPC)が100円のオークションだった場合、メディアが68円、Googleが32円受け取るということです。
Google AdSenseには、GDNのほかに検索向けAdSense(=AdWordsの検索パートナー)やゲーム・動画用AdSenseメニューもあります。YouTubeの広告枠はYouTubeパートナープログラムからYouTube利用者が申し込むケースが多いみたいです。
GDNのターゲティング&クリエイティブ設計の時の意識したいAdSenseの仕様
Google AdSenseにはいくつか特徴的な仕様があります。AdWordsの配信設計にも関わるので広告主も広告代理店も要チェックです!
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■広告枠のサイズを動的に変更できる
AdSense的には、様々な横幅のデバイスに対して自動的に適切なサイズの広告を表示させることができる「レスポンシブ広告ユニット」という機能です。
AdWords的には、通常の300×250などの規定サイズ以外の広告枠が存在するということです。「レスポンシブ広告ユニット」にはテキスト広告が表示される場合もあれば、バナー広告がリサイズされて表示される場合もあります。
またAdWordsの「レスポンシブ広告」などで、ある程度広告内でのデザインを保ったまま「レスポンシブ広告ユニット」へ配信できるメニューもあります。配信機会のある広告枠へ適切なクリエイティブで網羅するためにも、積極的にアプローチしていくメニューだと言えるでしょう。
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■テキスト広告の色を変更できる
AdSense的には、所有するメディアのテーマカラーや雰囲気に合わせてRGB色を細かく設定できる機能です。
AdWords的には、バナーだと自由度のある色設定がテキスト広告だと掲載先によって色が変わるということです。上図のように、色によっては広告テキストの印象が変わってしまうかもしれません。
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■テキストだけの広告枠を作成できる
AdSenseの「収益見込みに基づく推案」では「テキスト広告とディスプレイ広告」を選択することが推奨されていますが、広告枠にテキスト広告のみを掲載することも可能です。
AdWords的には、同じ広告枠でもメディア側の設定でバナー広告、テキスト広告の掲載有無が変更されるということです。バナー広告のみの枠をテキスト広告でプレースメント配信指定しても掲載されませんし、「テキスト広告とディスプレイ広告」ではバナーもテキストも入札競争をしていることになります。
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■広告の許可とブロックができる
AdSense的には、収益性の低い広告ネットワークや関連性の低いカテゴリの広告掲載をブロックすることができる機能です。
AdWords的には、すべての広告枠はAdWordsのターゲティング設定通りに配信される訳ではないということになります。広告主単位でのブロックや、業種ブロック、興味関心ターゲティングのブロック、第三者配信のブロックなど、AdSense側でそれぞれ許可とブロック設定ができます。
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■プレースメントターゲティングできるようになる?
AdSense的には、メディアの情報を広告主にアピールするための機能「カスタムチャネル」。複数の広告ユニットをチャネルとしてまとめられることで数値の管理がしやすいというメリットもあります。
AdWords的には、ディスプレイキャンペーンプランナー等からプレースメント候補に表示される広告枠はこの設定がある広告枠ということになります。直接URLをプレースメント指定すればこの設定のない広告枠でも(おそらく)入稿できるので、実務の中ではあまり支障ないかもしれません。
またトピックターゲットやコンテンツターゲットの情報の一つとして、サイトクロールやSearch Consoleと合わせて、この部分の情報もユーザーと広告のマッチング精度向上に活用されていることが考えられます。
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■β版メニューも様々
直近では「ページ単位の広告」がβ版リリースされました。これはモバイル端末の最下部に固定される広告と、モバイル画面全体を覆うようなジャック広告の2つです。
AdWords的には、AdSenseの新メニューによって広告掲載のされ方が変化してしまうということになります。上記2つの広告は果たしてどこまでユーザビリティを損なわないのでしょうか?AdWords上でこの枠への配信を除外することは現状できないようです。
広告枠の観点からもUXを追求するGoogle
AdWords運用担当はターゲティングやクリエイティブに重きをおいて配信設計をつくると思いますが、今回紹介したような、AdSenseの仕様という「どのように掲載されるか」も広告成果に直結する要素であるでしょう。
Googleは直近「マイクロモーメント」という概念をAdWordsからもAdSenseからも提唱しています。広告媒体も広告枠もよりよいUX(ユーザーエクスペリエンス)のためにアップデートされ続けているといってもいいでしょう。
(※マイクロモーメントについては以前書いたこちらを→マイクロモーメント時代の消費者行動モデルについて)
UXについて、AdSenseヘルプではユーザー エクスペリエンス 5 つの原則という資料が展開されています。下図は「取るべき行動をユーザーに示す」というセクションのスライドです。
例えばAdWordsの広告テンプレートやダイナミックリマーケティングなどで見ることができる「詳細はこちら」というテキストも、サイトコンテンツや行動フローなどユーザー体験にマッチした広告が表示されてこそ初めて行動を促すフレーズになると考えられます。
またダイレクトレスポンスを求めるインターネット広告は、広義のUXの中では「予期的UX」に位置するケースが多いと思っています。特に、初めてその情報を知る(≒認知する)ところの役割が大きいと思ってます。
※引用:時間軸でのユーザーエクスペリエンス 〜予期的UX編〜 | UXデザイン会社Standardのブログ
この「体験を想像する」というUXを実現させるターゲティング、クリエイティブとは何かというのが最近考えていることです。このユーザーがこういう行動をしていてこう感じた瞬間にこの訴求をこのデザインで届けることで…というのを、直接&間接効果を見つつ最適化していけたらと思っています。
これを遂行していくという意味でも、広告運用担当者は広告枠のことをもっと知ろう!という記事でした。興味のある方はYDNやFaebookなど他媒体のこともぜひ調べてみてくださいね。