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「音楽をつくりたい」人に必要なのは少しの勇気と周囲からの承認かもしれない – 自由大学「DIYミュージック」第一期受講レポート

2015.07.20

「ライフ x テクノロジーで自分だけの音楽をつくろう」というテーマで先日開講された、自由大学の「DIYミュージック」という講義に参加してきました。講義から感じたことや、自分の音について考えたことをレポートとしてまとめてみました。

 

自由大学で「DIYミュージック」講義を受講しました!

 
DIYミュージック | ライフ x テクノロジーで自分だけの音楽をつくろう FREEDOM UNIVERSITY 自由大学
 
6/6(土)から7/4(土)までの合計5回、毎週土曜日に開かれた「DIYミュージック」という講義に参加してきました。
 
場所は表参道のCOMMUNE 246内に設置されたキャンパス。お洒落な街中に突然現れた解放区域のようなイメージ。1階にある講義スペースは窓が透明で外から覗き込めるため、常に通りすがりの人の興味を惹いていました。
 
commune246
 
そもそも自由大学って?という方もいらっしゃると思います。僕もこの講義によってはじめて存在を知りました。
 
コンセプトは「大きく学び、自由に生きる」。IT、出版、旅、ライフスタイル、日本文化、これからの働きかたなど、時代が求める様々なテーマで、自ら考え、自ら行動する姿勢を育む場所を創り出すコミュニティです。
 
自由大学
 
似たようなコミュニティとしてはシブヤ大学福岡テンジン大学などが挙げられます。
 
会社員も、学生も、フリーの方でも、誰もが学びたいことも学びたい時に学べるように。枠に囚われない思考や実践値がこの自由大学に集まってきたり、ここで生まれたりしているんだとなぁと思います。
 
 
 

社会人2年目の宅録好きな自分が「DIYミュージック」を受講した理由

 
自由大学で開かれている講義の一つが「DIYミュージック」でした。
 

※「DIYミュージック」一期生のSoundCloudプレイリスト。自分は宅録プロジェクトorange+meで参加。今後はここに色んな音が集まってくるとよいなと思います。
 
「DIYミュージック」は名前の通り「音楽を作る」ということをメインテーマに、音楽についての様々な話題を扱う講義です。第一期は5回の講義で構成されていました。
 

 
講義名:DIYミュージック
 
教授:sawakoさん
キュレーター:鈴木絵美里さん
 
■第1回
音の学び、音の楽しみ~音楽・サウンドアート・音にまつわるテクノロジーについて
 
■第2回
音と遊ぶ~未来の楽器について、パフォーマンスについて、音づくりについて
ゲスト:株式会社コルグ 坂巻匡彦さん
 
■第3回
音の発見~サウンドスケープやフィールドレコーディングについて、「音を聴く」
ゲスト:パイオニア Sound Lab. 岡田晴夫さん
 
■第4回
音を発信~作品の発信・発表方法について、レーベルやコミュニティについて、音素材の編集について
ゲスト:flau レーベルオーナー ausさん
 
■第5回
最終発表会
 

 
自分がこの講義を受講しようと思った理由は大きく分けて2つ。①感性的な刺激を得るため②自己表現の時間を作るため、です。
これまで、このような有料の講義に通うという経験はなく、はじめてお金を投資してでも行きたいな、と思うものがありました。
 
 
①感性的な刺激を得るため
 
教授のsawakoさんはエレクトロニカ音楽としてとても好きな方で、ライブでお会いしたこともありました。
ドローンな感じで、透明で、ゆるやかに包まれるような音がとても好きなのです。
 

 
キュレーターの鈴木絵美里さんは、おもてなしオーケストラ!などで一緒にお手伝いさせて頂いている方。
文章を扱う仕事と音楽と関わる仕事。丁寧で、長い時間軸と広い視点+純な衝動がいつも一つ上の思考の材料になる方です。
 
ゲストでは、特にausさんに直接お会いできることを一番楽しみにしていました。
ausさんのエレクトロニカ音楽がとても好きで、自分のバンドの入場SEとして「Sora」をずっと使わせて頂いていました。
 

 
また、ausさんが運営しているレーベルflauには、cokiyuさんやCuusheさんをはじめ好きな方が多く所属しています。
 
このように、音や思考について刺激を受けてきた方々と「音楽」のあれこれについて直接話すことで、自分の音や思考という「感性」的な刺激を得たい、という気持ちが受講理由の一つ目でした。
ここには、複数人での講義という形で受けることで、それぞれの背景を持つ受講メンバーの視点も交えていろんな話がしたい、という気持ちもありました。
 
 
②自己表現の時間を作るため
 
受講理由の2つ目は、メインテーマ通り音楽を作りたかったからです。
 
社会人になって作曲や宅録に割く時間が大きく減ったことから、一種のフラストレーションみたいなものを抱えてしまう時もありました。
去年は会社の夏休みを利用して「tokai」という曲を作りました。福岡から東京に来て、新卒で都会のビルの中で働いてて、という中で作った曲です。
 

 
「今年も何か作りたい」と思い、音楽編集ソフトを触る時間をまず作りました。また、ギター、ベース、キーボード、フィールドレコーディグ(録音音源)以外の手段で自分の音楽を表現するための手段探しも込めて、自己表現に対して向き合う時間を作ろうと思いました。
 
 
 

講義内容を少しだけ紹介!どの回も「濃い」音楽の時間でした

 
簡単に、講義の雰囲気を紹介します。自由大学のページにも講義レポートがアップされるそうなので、公開され次第そちらのリンクも掲載します。
各回、とても濃い音楽の話や体験をすることができました。
 
※7/28追記 第2回のレポがアップされたので追記します!
自由気ままに、音を楽しむ | FREEDOM UNIVERSITY 自由大学
 
※9/13追記 自分が書かせて頂いた第4回のレポがアップされたので追記します!
「音楽のある生活」の言葉たち | FREEDOM UNIVERSITY 自由大学
 

DIYミュージック。今日のゲストはKORGの坂巻匡彦さんでした。 #自由大学 #korg #littlebits

Sawako Katoさん(@s0nik0)が投稿した写真 –

 
 
これは第2回の1枚。KAOSSILATORをはじめとするKORGのデジタル・アナログ楽器が机にずらり。実際に音を出してみた後は、それぞれが作った音を発表し合いました。
 
 

 
 
特にこのlittleBitsは本当に初心者でも遊べる素晴らしいアナログ電子回路の楽器で、これはまた遊びたい。可能ならば3セットくらい購入したい商品です。
 
第3回は、4面スピーカーで贅沢に世界中のフィールドレコーディング音源を聴いたり、メンバーそれぞれが録音した身の回りのフィールドレコーディング音源を披露しあったり。普段は気に留めない都会の音も、一部に焦点を当てて録ると「なんかいい音」だったりと、「音を聴く」楽しさを共有した時間でした。
 
 


 
こちらは第4回の1枚。後半はCubaseの編集画面を実際に見ながら、音源編集の概要について。第2回で受講メンバーがつくった音素材を使ってのデモンストレーションがあったりと、はじめて音楽をつくるような人にもその面白さが伝わるような講義でした。
 
各回、講義前後の他愛もない会話も含めて、それぞれのゲストの立ち位置で「音楽」のあれこれについて話すことができて楽しかったです。
 
 
 

作った曲を発表しあう「最終発表会」で気付けた自分の音のいいところ

 
第5回は、各自がこの「DIYミュージック」の受講期間に作った音を発表しあう時間でした。
 
がっつり音源制作をした経験のある方から、今回はじめて自分の音楽をつくる人まで。音源を流す人もいれば、その場で演奏する人もいたり。DAWやアプリでつくった人もいればプログラムを組んだ人もいたり。それぞれが自分が好きだと思った音を共有していました。
 
自分自身は、この期間に何を作ろうか迷ってました。
第2回のlittleBitsやArduinoを組める受講メンバーに刺激を受けてweb上での音楽表現を作ろうと思ったり、第3回のフィールドレコーディングの話に刺激を受けて2年前に作った瀬戸内の海と島々の音を使った、短い旅の7曲を再編集しようと思ったりしていました。
 
ただ、第4回のausさんの講義の中で自分のバンドの曲と宅録の曲を聴いて頂ける機会があり、「ギターがあるだけでポップに聴こえる」「きゅんとする」という感想を頂いたことで、最後の週も自分が一番自然につくることができる重ね録り音源を持っていきました。瀬戸内の旅の後、東京に来た自分の「日々」の曲。
 

 
この発表に対しても「青春っぽい音」とフィードバックを頂いたのは嬉しかったです。
自分の好きなギターのキラキラしたメロディを素直に表現していいんだな、と思うことができました。
 
今年度は編集スキルを磨きつつ、3曲ほど音源をつくろうと模索中です。9月に制作期間を設ける予定ですので、お知らせをお待ち頂ければと思います。
 
 
 

「音楽をつくる」ことへの勇気と他者承認の関係性

 
5回の中で曲作りに試行錯誤する受講メンバーを間近で見たり、発表の時に溢れ出る熱量を目の前で見たりして改めて感じたことです。
 
音楽をつくる(もしく文章、映像、デザイン、造形物…をつくる)って、「否定される怖さ」に打ち勝つ勇気が発信には必要で、更には「自分の表現が誰かにとって価値のあるもの」という承認が必要だと思うんです。
音楽の場合は特に、表現したいものが言語化できないからこそ魅力がある手段であるので、言葉で説明できないケースもあるでしょう。
 
この特性の中で「音楽をつくる楽しさを知っている人を増やす」という視点で考えると、今回の「DIYミュージック」講義のように環境作りが大事になってきます。
それは音楽の捉え方だったり、音楽を表現する手段だったりの多様性を知るということや、音楽を表現しようとしている他者を近くに感じることで安心するということ、またそれらの他者に自分の音を少しでも認めてもらうことで付く小さな自信が次の一歩へとどんどん続いていくと思うからで、この循環は一人では作り出せないからです。
 
感覚値ですが、インターネット上の承認よりも、オフラインでの他者承認の方が実際に動くための力になると思っています。
 
これは音楽に限った話ではなく、何事もやりはじめる勇気とやりはじめの他者承認による自信が大事なのかもしれません。ぜひみなさんもコンビニでバイト初心者の方が相手だった時に目を合わせて会釈してみたり、誰も返信していないであろう一斉メールに私信で返信してみたりしてしましょう。それだけで少し世界が明るくなる気がします。
 
環境作りという意味では、渋谷ズンチャカ!nanaフェス、もっと言うと名前も知らないような小さなバーで行われている持ち込み音源披露会みたいなものも、大きな枠で見ると同じようなコンセプトかもしれません。
そのような場を大事にしつつ、またそのような場があることをもっと知られるように、また時々参加しつつ。いろんな人が、身近なところから「音楽をつくる」楽しさに触れることができたらハッピーだなと思います。
 
2期も開講が決まっているらしく、「DIYミュージック」コミュニティが今後もどんどん繋がっていけたらいいなぁと思うばかりです。
 
 
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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