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オンライン読書BGMライブと映像展示「Music For The Story II」の記録

2021.12.18

2021/10/31(日)から11/28(日)までの5週連続で、各回3組・合計15組が出演するオンライン読書BGMライブ『Music For The Story II』を開催しました。
 
また11/20(土)から28日(日)までの土日祝日に、清澄白河の古民家を改装したレジデンス空間 The Bee’s Knees の2Fで、ライブ映像と共に自由に休んだり本を読んだりできる展示空間を開催しました。
 
簡単に経緯や反響などの記録をまとめます。

企画の経緯

この企画は、深川・本所を舞台とした街を巡るアートプロジェクト『本と川と街』の1プログラムとして開催。2020年度も参加し、古民家で少人数限定の読書BGMライブを開催しました。(清澄白河の古民家でまったり読書BGMライブ「Music For The Story」イベントレポート
 
2021年度は新型コロナウイルスの影響もあり、夏頃までずっと、秋にリアルイベントができるか・できないかを悶々としていました。
 
当初の企画としては、昨年の読書BGMライブよりもリラックスできる・日常的なオフライン空間として、オープンアトリエのようなことをしたいと考えていました。アーティストが実際に古民家で宅録制作をオープンに行い、来場者は横で好きにくつろいだり本を読む..というイメージです。
 
しかし感染状況を踏まえ、リアルイベントの計画がなかなか難しいと判断し、悩みながらも9月頭にオンラインでやろう!と割り切りました。この時の気持ちがイベントのコンセプト文章になっています。

オンラインで読書BGMライブをやろう!と思ったものの、オンラインイベントは飽和状態。少しでも他にないことをやろう..と色々考えた結果、ライブといいつつも日常の延長線にあるような「ミュージシャンにの日常風景を届ける」という案に行き着きました。
 
昨年『#うちから音楽と旅しよう #IntoTheSoundscape』を開催した時にも、場所を問わず、アーティストが暮らす場所をオンラインで繋ぎ、音を届けてもらうことをしました。コロナにより人と離れた結果、逆に人の生活感や生身の感覚を求めているのでは、という切り口もあります。あとは単純に、自分が好きなミュージシャンの制作風景を見れると自分がファンとしてテンションがあがる!というのがありました。
 
結果的に15組のアーティストにご協力頂き、10/31〜11/28の5週連続/毎週日曜の夜21時から無料配信を実施することができました。
 
出演者:birds humming the beat、daisuke miyatani、gen asai、morimoto naoki、moskitoo、no.9、paniyolo、[.que]、suguru oba、tatsuya maruyama、TINÖRKS、tomotsugu nakamura、uyuni、yutaka hirasaka、zmi
 

配信映像

出演者の方々から映像素材を頂き、自分の方で簡単に編集作業をしていきました。SNS告知用の30秒CMも5本作成しています。
 

 
ライブ前の時間を”転換時間”とし、Zoom風のレイアウトで、左には『本と川と街』が開催されている深川・本所付近で自分が撮影した風景映像を、右側にはアーティストの日常を垣間見るような映像を流しました。
 
深川・本所の映像は、スカイツリーや隅田川、深川八幡宮を始め、早朝の清澄庭園や夕焼けの小名木川、木場公園に清州寮、何でもない春の桜や木漏れ日、そして季節外れの盆踊り大会など、自分の生活圏内のお気に入りスポットを撮影していきました。実は自分の日常風景も垣間見えていたのかも..。

「京都の鴨川と隅田川を合わせちゃおう!」「こういう音だったら葉っぱが揺れている映像がよさそう」など、出演者ごとに何となく合う風景を選定しています。

ライブパートは自然体、生活感、環境音・・「できるだけカメラ目線をしないで!」などをお願いしつつも、基本的には自由に撮影頂きました。


自身で映像編集される方、猫と演奏する方、海の映像を流す方、子どもと一緒に音楽を楽しむ方、即興演奏、コラボ演奏・・などなど、15組それぞれの個性や暮らしの色が見えました。映像が届く度にテンションが上がり、自分が一番インスピレーションをもらい、時には「コーヒー淹れる映像もください!」などこちらからお願いもしたりと、各回の映像を編集していきました。
 
特設サイトでカーテンが揺らめくループ映像を入れているのも、一番最初に届いたyutaka hirasakaさんの映像が自由で・刺激的で・すごくインスピレーションをもらったことで、その後の映像編集や告知ビジュアルの軸が定まったという経緯があります。
 
オープニングとエンディングはこういう感じで、音楽によって本の世界への”ちいさな旅”が始まるようなイメージで、隅田川を揺られながら深川・本所の日常映像を混ぜる映像をつくりました。音は自分でギターを弾いてつくっています。(だいたいいつもと同じコードなんですが・・。わかる人向けにはblue skirtの「seaside」のイントロです)
 

 

展示

gift_のお二人の紹介頂き、清澄白河の古民家を改装したレジデンス空間『The Bee’s Knees』の2Fにて展示を行わせて頂くことができました。

オンライン配信した映像を5時間半の1本の映像にし、13時から18時半まで配信しました。小説を置き、自由に休んだり本を読んだりできる空間になっています。

展示自体はシンプルなセットに。桃源郷芸術祭の展示の時よりかは、余裕を持って準備構想をした上で設営ができました。


夜は外から見ても明かりが灯っていました。毎回盆踊りとpaniyoloさんで締め括られます。

反響

オンライン配信は、毎回100名前後に視聴頂きました。「癒される」「穏やか時間」などコメントを複数名から頂く回もありました。
 
出演者の皆さんからも、嬉しい・発見のある言葉を色々と頂きました。
 
・自分にとっての素のままの日常を、その時の音をいつか出してみたいと思っていたのでよかった
・演奏してる側が自然体だと聴く方も自然体でいられるような気がした
・色々な人の音楽的日常がふわっと浮かび上がるような、そういう時間が流れた気がした
・自分が家で一人作業をしている時も、世の中は動いているんだなという気持ちになった
・いい企画に参加できてよかった
・コロナ禍で音楽界隈にも配信が定着する中で、オンラインの自由度を活かしつつリアルタイム進行のイベントと連携させたとても付加価値の高い企画だと思った
・日常と平行にある誰かの日常が美しく懐かしく、導入やインタールード的な映像も物語や少し遠くの世界へ誘ってくれてちいさな音楽の旅のような気持ちを味わった
・「音楽を超える可能性を広く提示できる」企画に「希望」を感じた
 
gift_さんからも「CDや完成された楽曲とは違う新しいパッケージの届け方なのでは」という言葉を頂き、なるほど..と思いました。タビノエとかも食べ飲みしながら音楽を聴いて欲しいということに、ti-ti.uuなるけさんから「エリック・サティの思想みたい」というコメントをもらったことを思い出しながら、やはり自分は生活と紐づく音楽体験が好きなのかなと思いました。それぞれの日常の生活の中で、偶然的に、新しい音楽に出会うきっかけをどうつくるか..もっと考えていきたいです。

終わりに

住んでる街のアートプロジェクトへの参加、ほぼ初めてのがっつり映像編集、そしてコロナ禍での音楽イベントへのチャレンジなど、長期間ではありましたが自分にとってもいい刺激になった期間でした。
 
毎回書いているような気もしますが、自分の思いつきに対して、アーティストや周りの人がアイディアを重ねて頂き、そしてまた自分がインスピレーションをもらい、深め合うことで企画がどんどん広がって・強くなっていく過程は本当に楽しく、やっていていいものつくってる手応えも感じられる健康的な循環で、とてもやりがいを感じます。
 
収益面ではアーカイブ収益やArtSticker含めた投げ銭などいろいろ工夫はしましたが、金額としては大きくはなく、もう少し大胆に攻める部分も必要だよな..と思い直しました。
 
最近のコロナ状況だと、来年はもっとリアルイベントをできそうな雰囲気があります。自分の環境も変わるので、より自由に、身軽に、イベント企画をすることを自分に課していきたいなと考え中です。
 
最近自分の過去のイベントについて知ってくださった方のコメントで、「ひとつの音楽でも、どのような場所で、シチュエーションで、響かせられるかで、伝わり方は大きく変わると思っているのですが、その届け方が、どのイベントも素敵だなあと感じました。」と頂いたのが嬉しく、やはり自分は好きな音楽をどう伝えるか?どんなきっかけで好きになってもらうか?という部分をもっと追求していきたいなと思いました。

 
※追記:株式会社CINRAを退職しました。

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