• IDEA

  • 2015.10.04

「Twitterでつぶやく”疲れた”はマズローの承認欲求?」から考えるソーシャルメディアマーケティング

Twitterで誰に向けてでもなく「疲れた…」とつぶやくことって承認欲求なのかな?という疑問から、マズローの欲求段階説をもとにソーシャルメディアを利用するユーザーの心理を整理してみました。企業のマーケティング施策として何を工夫すべきかにも触れています。
 

 

ソーシャルメディアってどんなメディア?いっぱいあるけど何が違うの?

 
そもそもソーシャルメディアとは何かを簡単に整理しましょう。web上での定義は以下になっています。
 

ソーシャルメディアとは、インターネット上で展開される情報メディアのあり方で、個人による情報発信や個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通などといった社会的な要素を含んだメディアのこと。( ソーシャルメディアとは|social media – 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典 )

 
僕らが日々Twitterで呟き、Facebookでいいね!をし、Instagramに写真をアップし…といった具合に、ソーシャルメディアはユーザーのインターネット行動の一つの場所であり、生活の一部を形成する場所でもあります。
 
検索行動やニュースメディア閲覧、通販行動などと比較して、ソーシャルメディアの特徴として挙げられるのは「他者と関わる」という点でしょう。個人で完結しない以上、よりユーザーの心理的欲求に左右されるメディアであります。
 

※「インターネット楽しい」に関するツイート。楽しいからユーザーは毎日利用します。
 
ソーシャルメディアの例は以下です。それぞれ「どんな人と繋がるか」「どんなコンテンツを発信するか」という点が違ってますね。
 
・Twitter
・Facebook
・Instagram
・Tumblr
・Pinterest
・mixi
・Google+
・Foursquare
・2ちゃんねる
・アメーバブログ
・WordPress
・はてなブックマーク
・YouTube
・ニコニコ動画
・Vine

 
 
 

ソーシャルメディアの体験価値をマズローの欲求段階説にあてはめて考えてみた!

 
ユーザーの心理に深く関わるソーシャルメディア、今年の5月時点では「利用率が全体で6割超に」「利用者数が前年より増加」というデータもあります。(※参考:総務省|「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
 
この利用率増加の背景にはもちろんスマートデバイスの普及や、デジタルネイティブ比率の増加なども影響していると思いますが、何よりもソーシャルメディアにユーザーにとって価値のある体験が存在していることが事実だと思います。ではどんな価値なのか?ということをマズローの欲求段階説で考えてみます。
 
マズロー
 
マズローの欲求段階説とは、アメリカの心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したもので、マーケティングでも応用されている考え方です。
 
今回は物理的欲求(食事・睡眠・排泄等の生命維持に関する生理欲求と、健康や危機回避を求める安全欲求)が満たされた上でのインターネット生活を前提に、精神的欲求の部分でソーシャルメディアの価値を考えていきます。
 
 
■社会的欲求
まずは「どこかに所属したい」「孤独を避けたい」という社会的欲求です。学業に励むのも、仕事を行うのも、趣味に費やすのも、何かしらで他者と関わって生きているはずでしょう。シンプルに「友達が欲しい」という欲求もこの段階になります。
 
例えばFacebookやLinkedInなどは、自身の会社や大学を登録し、同じ所属や似た所属の人と「友達」として関わることができる仕組みになっています。
またTwitterやSoundCloudの「フォロー」は会ったことがない人にでもおこなうことができ、同じ趣味を持つオンライン上のユーザーと関わることができます。
 
facebook
 
友達やフォロワーの数が増えると嬉しいと感じるなど、自分がどこかに所属しているということを可視化することで社会的欲求は満たされます。mixiコミュニティやFacebookグループなどもそうです。
Ustreamやツイキャスなどのライブストリーミングサービスでは、アーティスト・芸能人とファンの関係性を、同じ時間を共有することで見える形にする役割をしています。
 
 
■尊厳欲求
社会的欲求の次にあるのが、「承認されたい」「尊敬されたい」「大事にされたい」という尊厳欲求です。何十億もいる人間という中での存在意義を認識するために、個性・アイディンティティを他者から尊重されたいという感情が人にはあります。
 
例えば、Twitterで「疲れた」と呟くのはきっと誰かに疲れている自分を知って同情してもらいたいという潜在意識でしょう。
 

※「疲れた」に関するツイート。つぶやき数が多いため、秒単位で更新されます。
 
これは毎晩「おやすみなさい」とツイートするのも同じだと考えます。自分もですが、特に一人暮らしだと眠る前に寂しくなって布団の中でスマホを手に取り、オンラインでの承認欲求を自然に求めていますね。
 

 
またFacebookでは「〜に行ってきた!」「〜が美味しかった!」「結婚・就職しました!」等の投稿が多く見られますが、オンラインを通じて自分の体験や行動を可視化し、友人やフォロワーに「いいね!」「コメント」して欲しいという承認欲求があります。これらの投稿には「自分を見て欲しい!」という自己顕示欲も関わっているでしょう。
 
このように「いいね!」「ふぁぼ」などほかの他者から見える場所で、他者からの好意的な反応が可視化されると承認欲求が満たされます
 
CHEERZ
※自撮りも承認欲求ですね、アイドルアプリCHEERZはユーザーとアイドルのwinwin感すごいです。
 
 
■自己実現欲求
5大欲求の頂点にあるのが自己実現欲求で、これには「成長したい」「何か新しいものを生み出したい」など様々な要素を含みます。(※参考:自己実現理論 – Wikipedia
 
例えば、人々はソーシャルメディアを通じて自身の様々な「作品」を発表しています。YouTubeやVimeoで映像を、Instagramで写真を、pixivでイラストを、SoundCloudで音楽を、noteやブログで文章を、GitHubでプログラムを公開します。
これには社会的欲求や尊厳欲求も関わりますが、自己表現としての自己実現欲求の結果を届けるための場所としてソーシャルメディアの価値があると言ってよいでしょう。
 

※先日彼らにとって5年ぶり、自分にとっては初めてのライブを観ることができたSpange call Lilie lineから、夜に聴きたい1曲を。
 
また認知の欲求も自己実現欲求の一部、もしくはこの欲求に近いという論があります。自分の知らなかった情報に即座に出会える手段として、趣味の合う人やメディアのアカウントをフォローすることはよくあるでしょう。興味のある情報を知りたいという知的好奇心は、通勤時間や手の空いた時間で都度満たすことができます。
 
 
このように、ソーシャルメディアは機能としてユーザーの心理的欲求を満たすような仕組みが考えられています。
いつでもインターネットに接続できる環境があるいま、人々が毎日のようにこの場所にアクセスすることは欲求的にも自然な流れだと思います。
 

しかし、SNS時代においてはそうはいかない。嫉妬は、「現在」だけでなく「過去」と「未来」にも範疇を広げてしまう。〜(中略)〜これらの嫉妬の拡張には、厳然たるデータ(証拠)を過度に信じてしまう心理状況があるのではないだろうか。相手の言葉よりも、履歴やコメントといった証拠に重きを置いてしまう。これを「(不完全な)エビデンス主義」と呼びたい。( SNSが若者の恋愛にもたらした壁|嘉島唯|note )

 
しかしSNS疲れという言葉があるように、可視化によって見えるようになった他者の社会的繋がりや肯定状況に対して嫉妬であったり疲弊感を抱くこともあるでしょう。
これには、ソーシャルメディア上のコンテンツが「点」であり、その投稿意図や文脈までは可視化されないことから、情報発信者と情報受信者の間でコミュニケーションの齟齬が起こってしまうことも影響しています。Twitterの「ブロック」「ミュート」、Facebookの「フォロー解除」はこれらの回避策としても機能しています。
 
ソーシャルメディアの体験価値はある種、これまでは可視化できなかった「自己に対するプラスの欲求」と「他者に対するプラス・マイナスの欲求」を可視化したところにあると言えるでしょう。
 
 
 

ソーシャルメディア文脈に沿って広告主のマーケティング施策をおこなうためには?

 
企業アカウントの活用だったりソーシャルメディア広告の活用だったりで、ソーシャルメディアが企業のマーケティング活動の一つの手段になることも最近は多くなってきました。
しかし直近はじまったInstagram広告を見ていても、「これは文脈を理解できていないのでは…」というような広告も少なくありません。
 

たとえば、 洗濯時間を 読書時間にしてみる。 #ふだんプレミアム #西島秀俊 #パナソニック

Panasonic ふだんプレミアムさん(@fudanpremium)が投稿した写真 –

※こちらはよかった広告。動画素材を使用していましたが、西島秀俊さんに対して「かっこいい♡」等多くの肯定的なコメントが寄せられていました。
 
広告主がソーシャルメディアをマーケティング施策に活用するとき、マズローの欲求段階説を踏まえると以下のことが言えるでしょう。
 
・「どんなコンテンツを発信するか」がメディアによって異なるため、Twitterなら短いテキスト、Instagramなら文字のない画像・映像など、仕様ではなくユーザーの実際の使用状況に合わせた工夫をおこなうべきである。
・繋がりが可視化されるメディアであるため、事務的なニュースリリースや広告よりも、人が発信しているような形でコンテンツを発信する方がユーザーに情報が届く。
・Facebookの「友達がいいね!しています」のように、繋がりを意識した仕組みは社会的欲求を刺激するため、一定のフォロワー・いいね数を獲得することは更なる見込み顧客を増やすことにも繋がる。
・Twitterで「疲れた」と呟いている人に「お疲れの貴方へ」と訴求するなど、ユーザーの承認欲求を満たすようなアプローチは反応率が高い。
・ユーザーは自分の体験や良いと思った情報は「シェア」し、自己顕示欲や尊厳欲求を満たそうとする。シェアボタンの設置に加えて、「応援していることが誰かから肯定される」「情報を知っていることが誰かから尊敬される」とユーザーが想像できるような設計が重要である。

 
上記は一例で、各ソーシャルメディアや商材、時期などに応じてそれぞれより詳細な文脈を踏まえたマーケティングプランを考えることができるでしょう。
 
はあちゅう
※先日の【くまクロ】特別企画 「こんな男は絶対モテる!」サイト。はあちゅうを知る男性の尊厳欲求を満たす工夫がシェア画像にまでされています。
 
 
iOS9アドブロックに関しての記事でも書きましたが、広告がユーザーにとって自然な形で存在することは、ユーザーにとっても広告主にとってもメリットがあります。特にソーシャルメディアでは他者と関わる中で心理的な要素が多いことから、マズローの欲求段階説以外にも心理状況を分析してみるとおもしろいかもしれません。
 
 
(競合ですが)オプトのオウンドメディアkakeruでは、実際のユーザーインタビューなどがいくつか載っており、今回参考にさせて頂いた記事の中でも特におもしろかったのでおすすめです。今後も楽しみなメディアですね。
【閲覧注意】”カップル共同アカウント”の謎に迫る。ミクチャ(MixChannel)で人気の高校生カップルに会っていろいろ聞いてきた
巨大LINEグループの神は16歳!帝越コク氏に会っていろいろ聞いてきた。|Social Native Life(連載03)
 
 
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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石松豊 / がちゃーん

音楽とインターネットが好き。CINRAの制作ディレクター。orange+me名義で音楽を作りつつ、個人やGerbera Music Agencyでミュージシャンを支援しています。

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