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  • 2015.08.06

ネット広告がブランディングに貢献するには? – Modern Age「ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーションとは」セミナーレポ

先日トライバルメディアハウスのMusic Communication Design事業部「Modern Age」が主催するセミナーに行ってきました。セミナーで得た「ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーション」の中で使われている思考をもとに「インターネット広告施策が広告主のブランディングに貢献するには?」という話題について考えてみました。

 

Modern Age主催のセミナーに行ってきました!

 
7月30日、東京銀座にて開催された無料セミナーに参加してきました!
 
Modern Age
 
Modern Age発足記念セミナー
「ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーションとは」
 
■主催:株式会社トライバルメディアハウス
    Music Communication Design事業部:通称「Modern Age(モダンエイジ)」
■URL:http://mailform.tribalmedia.co.jp/20150730/
※8/7追記:リンクが見れなくなっていましたので、トライバルメディアハウスのFacebookページへの投稿を代わりに。
 →https://www.facebook.com/TribalMediaHouse/posts/885844248130395
 
今回のプログラムは以下。(セミナーサイトからキャプチャにて転載。)
自分が参加した一番の目的は、高野修平さんの最新の音楽マーケティングの話を聞きたかったからです。
 
「ブランドと音楽コンテンツを融合させたマーケティングコミュニケーションとは」
 
デジタルマーケティング会社トライバルメディアハウスに所属し、先日Music Communication Design事業部:通称「Modern Age(モダンエイジ)」を設立した高野修平さん。
 
音楽業界ではレーベル、事務所、放送局、音響メーカーなどを支援。音楽業界以外にも様々な業種業態のコミュニケーションデザインを行っていらっしゃいます。
THE NOVEMBERS、蟲ふるう夜に、Aureoleのコミュニケーションデザイン、クリエイティブディレクターも担当しており、それぞれ施策はソーシャルメディアとデジタル音楽をマーケティング視点から考える音楽ブログ「THE GREAT ESCAPE」でも読むことができます。
 
『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』
 
『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』など、書籍も3冊ほど出版されています。
 
2014年9月に開催されたTHE BIG PARADEではじめてお会いし、11月に自分がスタッフとして関わったYEBISU MUSIC WEEKENDでもTHE NOVEMBERSの小林祐介さんと共にトークセッションとして出演されていました。
同じデジタル領域を武器にするマーケティング担当者として、音楽の場で活躍されている高野さんはキャリア的に目標となるような存在です。
 
 
 

ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーションのこれまでの課題

 
講演はModern Ageが目指すものや実績、海外における音楽マーケティング事例などにも触れていましたが、ここでは「ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーション」に絞って書いていきます。
 
ヤフオク / 水曜日のカンパネラ
※最近だとヤフオク!CMに水曜日のカンパネラが起用された例も。
 
まず、これまでの企業の音楽タイアップなどの施策でありがちな問題点として、①費用投下を止めると効果も消えること②コンテクストが弱いため記憶に残らないこと、の2点が挙げられました。
 
「①費用投下を止めると効果も消えること」とは、いわゆる検索連動型広告もそうなのですが、プロモーション施策を実施している期間の売上増加には繋がっても、そのプロモーション施策を停止した瞬間に効果も止まってしまうということです。ユーザーの「欲しい」や「したい」瞬間にのみ焦点を当てた施策だと、企業や商品を「好き」というファン意識を育てることが難しく、結果として企業のブランドイメージ向上などには貢献できないケースが多いでしょう。
 
「②コンテクストが弱いため記憶に残らないこと」とは、「有名だから」「影響力が大きいから」などの理由でタイアップアーティストを選定するケースが多く、コンテクストが弱いためプロモーションを受けたユーザーの記憶に残らないということです。人間の脳における記憶の仕組みを図解で説明したスライドを見たとき、当たり前ですがAISAS等での購買プロセスの「認知」に至るまでにはそもそもハードルがあり、ただ大きなプロモーション施策を打てば認知してもらえる訳ではないことに気付かされました。感知した物事が「自分ゴト化」された時に人は記憶をし、そうではない物事は15秒で忘れてしまうそう。
 


7月の呟きから拝借。「自分ゴト化」した音楽は記憶の残るため、語り継がれるという訳です。
 
 
 

生き続けるブランディングを実現するためのマーケティング思考「LAYER MARKETING」

 
この2つの課題に対する施策として、①トライブ②コンテクスト③タッグ④世界観、という4点を「LAYER MARKETING」という概念が説明されていました。各視点を層のように厚みを出す、というイメージとのこと。
 
Morguefile.com free stock photos
Morguefile.com free stock photos より地層のフリー素材。
 
まず「①トライブ」。これはトライバルメディアハウスの講演に行くとほぼ必ず出てくる言葉で「部族」という意味の言葉です。あらゆるマーケティングにおいて、ターゲット像を捉えるための手法はペルソナ、クラスタ…などいくつもあると思います。その一つとして「興味関心を超えた価値観や生活習慣などが似ている集団」=「トライブ」を軸にしたコミュニケーションをとることで、ソーシャルメディア時代のいま、企業の中長期的なファンまで見越したユーザーへアプローチすることができると言います。
 
次に「②コンテクスト」。音楽との融合マーケティングの場合は「ブランド」「メディア」「アーティスト」の3つの視点が重要と言います。「ブランドコンテクスト」はプロモーション施策を行う企業や商品に関する文脈。「メディアコンテクスト」はオンライン・オフラインを問わずプロモーション施策を行う場所についての文脈。「アーティストコンテクスト」は楽曲やアーティストに関する文脈。これら3つの文脈を抑えた施策により「ブランド・アーティストのファンになる」「ユーザーの記憶に残る」などが達成されます。
 
続いて「③タッグ」。単なる一時的なタイアップに留まらず、アーティストとブランドが一緒に育っていくような施策こそ、生き続けるブランディングに重要だと説明していました。海外ではRed Bull Media HouseConverse Musicなどで企業による音楽産業との関わりが進んでるらしいです。
 
Converse Music
 
最後に「④世界観」。エクスパンデッドユニバーズ(拡張された世界観)という言葉も使われていましたが、「物語性」であったり「ニュース性」のあるプロモーション施策を打つことが重要とのこと。この辺りはTHE NOVEMBERSにおける「Rhapsody in beauty」リリース前後の各マーケティング施策をリアルタイムで見ているとグイグイ伝わってくるものがあります。「ストーリーをつくる」大事さは理解できても、実際に目の前のことに応用するにはセンスや技量が必要だなぁと痛感しています。
 
上記の「LAYER MARKETING」は、音楽にとどまらないタイアップやコラボ企画、また通常の企業のマーケティング施策にも応用できる考え方です。
現在のビジネスや文化産業における事象や課題、そして打開策をオリジナルの言葉で整理して発信していく姿勢は、本当に刺激になるなぁとしみじみ思います。
 
 
 

インターネット広告施策が広告主のブランディングに貢献するには?

 
途中で少し触れましたが、検索連動型広告を起点としたインターネット広告施策は、費用投下を止めると効果も消えるという場合が多い傾向があります。
 
「検索(Search)」という行為はユーザーの興味関心や購買意欲に基づくものであるため、AISAS等の購買プロセス上では「購買(Action)」に近い場所に位置します。マス広告などと比較すると、低いCPA(Cost Per Action:目標1回あたりの達成単価)で「購買(Action)」を獲得できることが実施のメリットです。
 
AISAS
 
しかし検索連動型広告は「検索したユーザー」のみへのアプローチであることから、まだ企業や商品のことを「認知」していない「検索していないユーザー」へのアプローチができないという課題があります。また短期的な「購買(Action)」には繋がっても、リピートして購入することや、価格やスペックを超えてその企業のファンになることへは繋がりにくいことが課題として挙げられます。
 
こういった課題の中、企業の中長期的なビジネスパートナーとして、広告主の売上拡大かつブランディングに貢献するために、検索連動型広告を起点としたインターネット広告施策は何ができるかを考えてみたいと思います。
 
検索結果画面「インターネット広告 音楽業界」
※Yahoo!JAPANで「インターネット広告 音楽業界」と検索した時のキャプチャ。「広告ならGoogleアドワーズ」部分が検索連動型広告の例です。
 
企業のブランディング指標をインターネット上で数値化するとき、その一つに「指名系キーワード(会社名・サービス名・特定の商品名)の検索数」を挙げることができるでしょう。
 
「検索数」にはユーザーの関心度合いや世間での賑わいがダイレクトに現れます。「ブランディング」とは簡単に説明すると「共通のイメージをユーザーに持たせること」であり、それはユーザーが物事を記憶し、AISASでいう「認知段階」「感情段階」またはその次の「検索」へ辿り着いたという意味にもなります。
 
つまりインターネット広告施策では、指名系キーワードの検索数を伸ばすような施策が広告主のブランディングに有効だと考えることができます。
 
「指名系キーワードの検索数を伸ばす施策」はいくつも挙げられると思いますが、それぞれで「ターゲティング」「訴求(クリエイティブ)」などを「コンテクスト」を踏まえて設計することが重要です。この設計によりユーザーの「認知」度合いが変わり、指名系キーワードを検索するかしないかという態度変容に影響を与えます。
 
googleトレンド
※検索数の推移はGoogleトレンドなどで確認することができます。
 
例えば通信講座に関するバナー広告を、様々な通信講座のサイトに訪れるような「人」に絞って広告配信をしていても、自宅のPCからどの通信講座が一番自分に合うか比較サイトで調べている時に広告に接触するのと、電車の移動中にスマートフォンアプリからゲームをしている時に広告に接触するのでは、ユーザーの心理状況が全く異なります。「人」に加えて「面」のコンテクストも踏まえたターゲティング設計が重要です。Yahoo!など様々な話題を扱うニュースサイトを配信対象にするのであれば、特定のキーワードやジャンルのページに絞って配信し、比較サイトや専門用語をまとめたサイトであればそのサイト内のすべてに広告を配信するなど、サイトの属性によって配信量を調整できる構成を作ることも大事です。
 
またYouTubeへの動画広告の場合、ユーザーの多くはYouTubeにアクセスする時点で特定の見たい動画が決まっているでしょう。その文脈の中で「自分ゴト化」できない一方的な動画広告を配信しても、ユーザーにマイナスな影響を与えてしまいます。通信回線商材であれば「YouTubeの動画が時々止まったりしませんか?でも◯◯なら高速通信!」という訴求をスマートフォンに配信したり、旅行系商材であれば「たまには自然の音でリラックスしませんか?◯◯で夏は◯◯へ旅行しよう!」という訴求をライブ動画を見ている休日の社会人に配信したりなど、メディアコンテクストやユーザーの心理を抑える必要があります。これがニコニコ動画やGYAOの場合はまた違ったメディアコンテクストになります。
 
上記はほんの一例で、「指名系キーワードの検索数を伸ばす施策」は純広告でもキュレーションメディアでもアプリでもメール広告でも記事広告でも、手法は何でもよいと思っています。それぞれのコンテクストを意識した設計にすることで、ユーザーが広告から物事を「認知」または「記憶」し、その瞬間のクリックにとどまらず「検索」を起こすような興味喚起に進む確率が上がり、指名系キーワードの検索数が伸びる=広告主のブランディングに貢献できるという論理です。
 
目の前の課題解決の手段として選ばれることが多い検索連動型広告を起点とするインターネット広告ですが、運用次第では中長期的にも広告主に貢献できる手段にもなりうるのです。
 
 
 

まとめ

 
今回はModern Ageのセミナー内容と、そこから派生して考えたインターネット広告の話を書いてみました。
 
■前半:ブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーションについて
・これまでのブランドと音楽を融合させたマーケティングコミュニケーションでは「費用投下を止めると効果も消えること」「コンテクストが弱いため記憶に残らないこと」が課題だった。
・これらの課題は「トライブ」「コンテクスト」「タッグ」「世界観」の4点を抑えた「LAYER MARKETING」を活用することで打破することができる。
 
■後半:インターネット広告施策が広告主のブランディングに貢献するには?
・インターネット広告の手法の一つである検索連動型広告では、「検索」という行動の特性上、短期的な売上には貢献しやすいが中長期的な広告主のブランディングへの貢献は難しかった。
・企業のブランディング指標をインターネット上で数値化するとき、その一つに「指名系キーワード(会社名・サービス名・特定の商品名)の検索数」を挙げることができる。
・「指名系キーワードの検索数を伸ばす」ということを普段の施策の延長線上に置いた配信設計を行うことで、ユーザーにとって「認知」または「記憶」できる広告接触を与えることができ、広告主にとっての短期的な成果だけでなく中長期的なブランディングに繋がるような動きを作り出すことができる。

 
 
インターネット広告のような運用型のビジネスに大事なのは、技術やツールよりも知識やスキル、チームで戦う力といった「人の力」です。
数字の改善案に加えて、広告主の目線に立つ力、市場を見据える力、マスやアナログも含めた全体のプロモーション設計を考える力など、もっともっと身につけていきたいと思うこの頃です。心理学とか人間の動作の仕組みも学んでみたいところ。
 
 
※他に参考にしたサイト
人々がつながるためのマーケティング〜Tribal Marketing 再考 | mediologic
現状の閉塞感を打破する共創マーケティングのポイント
11個の要点でちゃんと理解する「ブランディングってなんなのよ?」
全部無料!商用利用可能なフリー写真素材サイトまとめ20選 | 株式会社LIG
 
 
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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WRITER

石松豊 / がちゃーん

音楽とインターネットが好き。CINRAの制作ディレクター。orange+me名義で音楽を作りつつ、個人やGerbera Music Agencyでミュージシャンを支援しています。

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